2015年11月2日月曜日

火星の「シリカバレー」に見る、火星の住宅事情


まだまだ半信半疑の火星移住ですが、着々とステップを重ねているようで…。

NASAはここ数年、火星の住居について宇宙専門家外から意見を求めています。3Dプリント制作可能な住居デザインを公募した「3D Printed habitat Challenge」もその1つ。火星にある材料を使って建築する人間が火星で暮らす家の意見を、建築家、エンジニア、そしてデザイナーから広く募集しました。

このプロジェクトはすでに終了しており、水を使ってつくるイグルー(エスキモー文化にある氷の家)のような住居デザインが最優秀賞に選ばれました。

受賞は惜しくも逃しましたが、最終選考に残ったデザインはどれも目を見張るものばかりでした、マサチューセッツ工科大学(MIT)の建築学科チームが、最終選考に残っていた自身のデザインの詳細を公開しています。

MITのデザイン「Ouroboros」は、一目で目を惹く真新しいものではありません。膨らませて使用するドーナツ型の住居は、すでにNASAが考えていたアイデアと似ています。

では、このデザインで注目すべきなのは何かと言うと、その材料と建築方法です。建築家とエンジニアの学生からなるMITチームが考えだしたのは、膨らますことのできる非常に強固な生地を織り、それを使って作る住居です。そもそもの生地を作るための材料は火星にあるシリカです。

2007年、NASAは火星で、ある特別なエリアを見つけました。エリアは「シリカバレー」と名付けられましたが、名付け理由は名前そのまま。その地域の土壌にはシリカが実に豊富に含まれていたからです。火星探査機スピリットによれば、土壌の60%はシリカだと言われています。


シリカが豊富な土壌 by Spirit. NASA /JPL-Caltech / Cornell


シリカは、ガラスを作るのに必要な原材料の1つ。溶解して、トコロテンのように型に入れて押し出し、糸のようにしてガラス繊維(グラスファイバー)を作り、これを編むことで、強く軽い外骨格を作り出せます。

さて、住居完成には、これにさらに気密性のあるプラスティックフォーム、つまり熱可塑性物質が必要になってくるのだとか。これに対して、建築技術の准教授であるCaitlin Meuller氏は、大気と土壌をミックスすることで、熱可塑性物質を作るために必要な化合物はそろうと語っています。

チームのエンジニアたちが考えだしたのは、火星の大気中に含まれる水素と二酸化炭素と、熱可塑性物質を作るためのポリポロピレンを合成する方法です。

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