2015年11月4日水曜日

風邪薬の成分がひっそり替わって、効かなくなってた件


アメリカの話ですが、そんなことってあるんですね…。

アメリカでは少し前まで、ちょっとした鼻づまりにはSudafedという市販薬を買えばそれで済んでいました。でもあるとき突然、Sudafedが効かなくなったんです。そんなことってあるんでしょうか?

残念ながら、あるみたいです。Sudafedの有効成分であるプソイドエフェドリンを悪用する人がいて、それを避けるためにフェニレフリンという成分に替えられたんです。そしてある研究によると、フェニレフリンは鼻づまりに全然効かないんです。

The Journal of Allergy and Clinical Immunology:In Practiceに掲載された記事で、フロリダ大学の研究チームは、FDA(米国食品医薬品局)に対し、経口薬としてのフェニレフリンの流通停止を求めています。だって鼻づまりを治す薬のはずが、実際はただお金をドブに捨てているのと同じだからです。

その根拠とされているのは、ある研究グループが539人を対象に行なった実験の結果です。その実験では被験者がフェニレフリンを10~40mgの範囲で摂取したのですが、有効成分のないプラセボ薬を摂取した人たちと比べて鼻づまり緩和の効果が見られなかったんです。ちなみにFDAが承認するフェニレフリンの摂取量は「4時間ごとに10mg」で、つまり承認された量を守っても、それ以上に増やしても、どっちにしろ効かないということです。

そもそも、ちゃんと効いていたプソイドエフェドリンを使わなくなったのはなぜでしょうか? それは、覚せい剤のせい、というか、覚せい剤を売り買いしたり使ったりする人のせいです。2000年代、SudafedだけでなくClaritin-DやAllegraなど、アメリカで市販されている鼻づまり薬の多くにはプソイドエフェドリンが含まれていました。でもその後、プソイドエフェドリンが覚せい剤の合成に使われていることがわかってきたんです。そこでプソイドエフェドリンは市販薬からフェードアウトし、代わりにフェニレフリンが採用されるようになりました。

製薬会社は市販の風邪薬だけで毎年80億ドル(約9,700億円)を稼いでいて、その多くは鼻づまり薬です。フェニレフリンが本当に効かないとしたら、これまでいかに多くのお金がムダになっていたんでしょうか? しかもフェニレフリンの効果を否定する研究結果は、今回の研究より前から示されていたんです。

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