2016年2月5日金曜日

FinTechの本質を見抜く3つの共通項とは何か

 これまでFinTechのなぜ壮大な可能性を秘めているのかについてひも解いてきたが、最後に3つの動きからFinTechの本質が見えてくる3つの共通項を挙げてみたい。

自動車保険にFinTech

 現在、自動車保険の大部分は「免許証の色」「走行距離」「年齢」「車種」「事故歴」「地域」などの"過去の状況"で保険金額が決まる。そういう意味では金融機関の融資と同じであり、過去の実績として、「赤字の会社」ならバックに大きな会社がついているとか、経営者なら個人資産が潤沢でないと、なかなか融資を受けてもらえない。現在、「急に売り上げが伸びている」とか、「ネットの評判がすこぶる良い」とか、"現在""リアル"な評価だけでは難しい。

 この自動車保険に、"リアル"な現在の運転を評価できればと考えたのが、FinTechを応用した保険である。自動車にセンサーを取り付け、「急発進」「急ブレーキ」「法定速度順守」など多数の項目にわたる評価をリアルに判断し、優良運転手は結果として保険料が安くなるという仕組みだ。既に日本でもアクサ損害保険の「テレマティクス保険」やソニー損保の「やさしい運転」で試すことができる。今までとても穏やかな運転を心がけてきた人にとっては、気持ちの良い保険であると言えよう。

財務管理にFinTech

 例えば、Freeeやマネーフォワード、Zaimなどが有名だ。今まで税理士事務所に全て委託していた小規模な会社があったとする。委託費用は月10万円ほどだ。これをFreeeに乗り換えると、1980円になる。しかもさまざまな、詳細な分析できる。金額ベースなら約50分の1。他のオプション機能もうれしいという状況である。

海外送金にFinTech

 「M-PESA」(エムペサ)というサービスが台頭している。発展途上国を中心に、銀行口座を待てない人(推定10億人)に海外送金を可能にさせたものだ。ケニアでは人口の3割がこの機能を使い、海外送金をしているという。

 同国の携帯通信会社Safaricomのモバイルバンキングシステムで携帯電話からSMSを送ると、銀行口座を持たなくても送金、預金・引き出し、支払いをはじめとする金融取引ができる。しかも、マネーロンダリング対策もしっかりしており、安心して処理ができるというのだ。今まで金融機関は、この層を顧客対象にしなかった。FinTechで初めて貧困層も金融に参加できるようになったという。

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