2014年6月14日土曜日

「Mt. Gox事件」の被害者がビットコインの“伝道師”へと変貌を遂げたワケ


東京・西麻布の飲食店『VERANDA』に設置されたビットコイン専用ATMと、ビットチェック社代表取締役の峰松浩樹

世界で急速に普及してきている、インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」。クレジットカードなどと比べて取引手数料が安く、Web上の少額決済に向いているほか、国際送金が容易であることも利用を促進しているようだ。


だが、利用者が世界で数百万人にのぼるとされる中、日本での利用はそれほど進んでいない。今年2月には、東京・渋谷にあった世界最大級の取引所「Mt. Gox」が計85万ビットコインを紛失、経営破綻に陥るなど、ネガティブな話題が先行している印象だ。


こうした日本における「逆風」にもかかわらず、ビットコイン関連のビジネスを推し進めようとしているのが、2014年4月に創業したばかりのビットチェック株式会社。代表取締役の峰松浩樹氏は、「Mt. Gox事件」により資産を失った被害者の1人でありながら、6月には東京・西麻布の飲食店にビットコイン専用のATM『Robocoin』を設置した。


日本にもビットコインが広く流通する日がやってくるのか。その時、周辺にはどのようなサービスやビジネスが生まれているのか。峰松氏が見据える、日本におけるビットコインの未来について聞いた。



「安全・安心」の確保がビットコイン普及のカギ

ビットチェック株式会社のホームページ

海外でこれほどまでに利用者を増やしているビットコインが、日本でなかなか普及しないのはなぜか。峰松氏の分析はこうだ。


「日本では現金が圧倒的に使いやすく、Suicaなどの電子マネーも広く普及している。ビットコインが広まりにくい環境であることは確かです。しかしそれ以上に、日本が『安全・安心』を非常に重視する国であることが関係していると見ています」


ビットコインには発行主体が存在せず、末端のユーザー同士が匿名で直接取引する。銀行などを介さずに決済できるため、取引の経路を辿るのが非常に難しい。


麻薬取引や資金洗浄といった犯罪の温床になりやすいことが、警戒心の強い日本人の利用を妨げてきたという。


「加えて、今までの日本のプレーヤーは、主に投資を目的とする人たちでした。そういうプレイヤーが手っ取り早く儲けるには、相場が乱高下する方が望ましい。一般ユーザーにとっては逆に、価値が大きく変動するため決済に使いにくい、という側面がありました」


今回、ビットチェックがATMを導入した狙いは、まさにこの問題を解消しようというものだ。

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