2015年10月9日金曜日

「データを活用して利用者に寄り添った情報の提供を進めたい」メディアカンパニー楽天が目指す姿とは?

 これからデジタルマーケティング領域では、どのような「おもてなし」が必要か。様々な立場の有識者とSprocketの深田浩嗣が、対談から探っていく本連載。第2回目は楽天マーケティングジャパン事業長 濱野斗百礼氏と共に、楽天のデータ活用とメディアの在り方についてを考えたい。

■膨大なデータから見えてくる次のマーケティング戦略

深田:今回の対談にあたって、これまでのトリプルメディアの立ち位置と、これからのあり方について整理しました。それが、こちらの図です。

 これまで、情報発信はマス媒体に依存してきました。しかし、インターネットの普及などを背景に、マス媒体でのアプローチ効果が低下しつつあります。そこで、企業自らがメディアを用意しはじめています。一方で、カテゴリマスを握っているデジタルメディアが従来のマス媒体の役割を奪いつつ、新しい顧客とのコミュニケーションを実現しています。

 こうした実情を踏まえて、楽天が取り組もうとしているデータを活用したマーケティングをテーマに、濱野さんにお話をうかがっていきたいと思います。
楽天株式会社 執行役員 楽天マーケティングジャパン事業 事業長 濱野斗百礼氏(右)
株式会社Sprocket 代表取締役社長 深田浩嗣氏(左)

濱野:現状はまさに、この図の通りだと思います。楽天の強みはデモグラフィックデータ(以下、デモグラ)、購入データと結びつくIDを大量に保有していることです。一般的にデータの活用には、「個人データの活用」と「セグメント化された情報の活用」の2種類がありますが、豊富なデータによって、楽天ではどちらも活用することができるのです。

 もちろん、外部にデータを提供するビジネスは行いませんが、広告と組み合わせることで、個人にマッチした広告の配信や類似ユーザーへの配信といった活用が可能です。これによって、不適切な広告を見せない、ユーザーに寄り添ったマーケティング活動が実現できると考えています。

 さらに、デモグラや購買データのみならず、基礎体温を記録するキレイドナビのようなデータも一部保有しています。これらのデータを用いれば、予防医療に活かすこともできるでしょう。つまり、広告に限らず消費者にもインパクトのあるサービスを提供できる。私たちは、"楽天がデータを活用することで、ユーザーにとって「よりいいものが手に入る」「新しい発見ができる」"という図式を目指しているのです。

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